■なぜ、乗心地がよいのか?

ヘルムとデプスコントロールレバーを握る船長。

 水面に浮かんでいる船は、水の表面に波浪が起これば、動揺から逃がれることは できません。これはいってみれば「船の宿命」で、長年にわたって「揺れない船」をめざしてさまざまな努力がなされてきましたが、結局、「波の影響を避けるため には、飛び上がるしかない。」との結論に達しました。この結論が、ジェットフォイル開発の基本的な考え方です。
 通常の船とは異なり、翼走中のジェットフォイルは水の浮力を受けておらず、海 中を進む水中翼に発生する「揚力」で海面上に飛び上がっているのです。そして、 その揚力は、水中翼の後縁部のフラップを作動させることによって思うままにコントロールできるため、ジェットフォイルを旋回させることも、また、海面からの高さを一定に保ち、不快な動揺をおさえるようにコントロールすることもできるのです。
 ジェットフォイルは海面上を飛んでいるため、翼走に入るとほとんど動揺せず、 素晴らしい乗心地で航走します。この間、船体の各部に備えたセンサーとACS(自動 姿勢制御装置)が、船の姿勢と動揺を制御しています。
 波高が高くなり、波が船体に当たりはじめると、いよいよ船長の出番です。船長 は右手でヘルム(操舵ハンドル)を握り、左手でフォイルの深度をコントロールするデプスコントロールレバーをもちます。左手のレバーを上下することによって、 ジェットフォイルの船体が高い波の波頭を越えるよう、海面上の高さをコントロー ルしてやるのです。これにより、一般の船舶にみられる不快なスラミング(=波と 船体の衝突)を発生することなく、スムーズに荒海を走ることができるのです。
 旋回時は、船体を内側方向に傾斜させて回頭します。これはちょうど航空機の旋回と同じで、スピードを落とさず、しかも乗客に不快感を与えることなく、旋回することができます。また、ジェットフォイルは船体を海面上に持ち上げて航走する ため、客室からの眺望も抜群です。