■どういう仕組みで海上を『飛ぶ』のか?

 ジェットフォイルは、ガスタービンエンジンで駆動される「ウォータージェット推進機」の推力で前進し、船体の前後の水中翼に発生する揚力で海面上に飛び上がります。
 海面上に飛び上がって走行する状態を“FOILBORNE”(翼走)といいますが、翼走中のジェットフォイルの動きは航空機ときわめて似ています。すなわち、船体のバ ランス制御を行なう際には、水中翼の後緑に装備されているフラップをAUTOMATIC CONTROL SYSTEM(ACS=自動姿勢制御装置) でコントロールしてつねに水面から一定 の高さを保ち、旋回時にはヘルム操作一つで船体を内側方向に傾斜させて滑らかに 回頭させることができるからです。
 要するにジェットフォイルは、大気のかわりに海水から揚力を得て飛ぶ“海の飛行機”なのです。水の密度は大気の約800倍のため、ジェットフォイルは、航空機に 比べて低い速度と小さい翼で飛び上がることができるわけです。
 世界には、現在、36隻のジェットフォイルが就航していますが、そのうち21隻は 米国シアトルのボーイング社の航空機製造工場で製造されました。この工場の中では、当時、ボーイング727、737、757も製造されていました。航空機のエンジニアが設計し、航空機の製造技術者が組み立てを行なったのですから、ジェットフォイル が航空機に類似している点が随所に見られるのも、むしろ当然かも知れません。

●なぜ、ジェットフォイルと呼ばれるのか?
 「ジェットフォイル」とは、この超高性能船舶を開発した米国ボーイング社が選んだネーミングで、現在は川崎造船の登録商標です。「ジェット」は、もちろん本船がジェットエンジンとウォータージェット推進機によって駆動されることからきており、一方「フォイル」とは、「鋭く、薄い翼」を表わす英語からきています。ボーイング社からジェットフォイルの製造・販売権を得た川崎造船は、この名前を引き継ぎ、現在は「川崎ジェットフォイル」として、製造・販売を行なっています。ちなみに本船は、正式には「ボーイング929」と呼ばれていました。ボーイング社は、航空機には707、727、737、747という具合に700番台の番号をつけ、船舶には900番台を使用していたのです。この「929」という番号も川崎造船に引き継がれ、現在では、「川崎ジェットフォイル929-117型」として製造されています。